大黒坑
訪問日 | 2008年9月15日(月) 2011年8月10日(水) |
場所 | |
天気 | 一回目…晴 二回目…晴 |
同行者 | 一回目…父 二回目…○○高校地学部 |
管理体制 | Free |
産出鉱物 | 黄鉄鉱、車骨鉱、水亜鉛銅鉱 |
疲労度 | ★ |
危険度 | ★★ |
オススメ度 | ★★★★ |
備考 | 河原なので、増水には十分に注意のこと。 |
1、産地概要 この産地は秩父鉱山の中でもっともポピュラーな産地と言っていいほど人気がある産地で、アプローチも楽で、様々な種類の鉱物を採集することが出来る産地です。 場所は、出合トンネルをくぐり、北に進み、いくつかトンネルをくぐった先にある橋の近くで、近くには大黒坑があります。 ただ、川原が産地となっているので、増水時には十分注意する必要があります。 2、産出鉱物各論 1)、バラ輝石 rhodonite 化学組成 (Mn,Ca)5Si5O15 珪酸塩鉱物 ポピュラーなマンガン鉱物の一種。ここではあまり産出しない。 2)、菱マンガン鉱 rhodochlocite 化学組成 MnCO3 炭酸塩鉱物 ここで採れる上記の二つのマンガン鉱は、他のマンガン鉱山とは違ってあまり綺麗ではないが、新鮮な菱マンガン鉱はピンク色の塊状をしていて、なかなか綺麗。自形結晶をなす場合もあり、中に黄鉄鉱などの金属鉱物を伴うこともある。 この鉱山では主に金属鉱物や石灰石を採掘していて、マンガン鉱はその対象ではなかったせいか、意外に多く見られる。 3)、自然金 gold 化学組成 Au 元素鉱物 みなさんご存知の元素鉱物。黒色の閃亜鉛鉱の上に紐状として産する。 4)、黄鉄鉱 pyrite 化学組成 FeS2 硫化鉱物 この産地で最も多く見られる鉱物といってもいいほど多量に産し、自形結晶をなすものも多い。 黄銅鉱などの金属鉱物と一緒に産することが多い。個人的には菱マンガン鉱の表面についている黄鉄鉱の立方体結晶が良い。 5)、黄銅鉱 chalcopyrite 化学組成 CuFeS2 硫化鉱物 真鍮色金属光沢。自形結晶をなすものもある。 6)、方鉛鉱 galene 化学組成 PbS 硫化鉱物 立方体(六面体)の特徴ある結晶で、帯青黒色金属光沢をしている。 鉱石ラジオの最初の検波に利用されたという話もある。 7)、閃亜鉛鉱 sphalerite 化学組成 ZnS 硫化鉱物 黒色〜橙色で黒色は金属光沢で、橙色は透明でガラス光沢と非常に色彩に富む。 大体のものは黒色でガラス光沢が強い。 鉄分が混入すると色が黒くなり、鉄含有率の高いものは「鉄閃亜鉛鉱」と呼ばれ、化学組成でFeSと表すこともある。 そして、樹脂光沢で色の薄いものは「べっ甲亜鉛」とも呼ばれることがある。 結晶は四面体、八面体、十二面体などがあり、四面体の結晶が多い。 8)、硫砒鉄鉱 arsenopyrite 化学組成 FeAsS 硫化鉱物 銀白〜灰色・黒色や黄色などの多彩な色と形を持つ鉱物で、日本だと大分県尾平鉱山産のものが有名。 硫化鉱塊の晶洞部分に菱餅状結晶として産出する。 9)、車骨鉱 bournonite 化学組成 CuPbSbS3 硫化鉱物 菱マンガン鉱の上に黒色柱状の結晶として産出するが、非常に小さい上、産出が珍しい。 この産地のスター的存在である。 10)、ブーランジェ鉱 boulangerite 化学組成 Pb5Sb4S11 硫化鉱物 菱マンガン鉱の晶洞部分に、黒〜青黒い色の針状結晶として産する。 ただ、非常に小さいうえ、毛鉱との区別が難しい。 11)、毛鉱 jamesonite 化学組成 Pb4FeSb6S14 硫化鉱物 ブーランジェ鉱と同じく、菱マンガン鉱の晶洞部分に黒〜青黒い色の針状結晶として産する。 ブーランジェ鉱との違いは鉄を含むか含まないか。 12)、方解石 calcite 化学組成 CaCO3 炭酸塩鉱物 方解石は、石灰石や大理石、さらには洞窟にある鍾乳石を構成している鉱物で、セメントに使われたり、建物の床や壁に使われたりと用途は幅広い。 どこの産地でも普通に見られ、上流に石灰石採掘場があるからか、量は多い。 また、岩石的には、変成岩の結晶質石灰岩(大理石)の結晶が大きい形として産する。 13)、孔雀石 malachite 化学組成 Cu2CO3(OH)2 炭酸塩鉱物 緑色皮膜状の鉱物で、量はまあまあある。 14)、石英 quartz(水晶 rock crystal) 化学組成 SiO2 酸化(珪酸塩)鉱物 この鉱物はこの辺のどこでも見られるが、意外に産出量は少ない。 15)、鉄電気石 schorl 化学組成 NaFe3Al6(BO3)3Si6O18(OH,F)4 黒色柱状結晶としてペグマタイトの晶洞中に産出。珪酸塩鉱物。 おまけに、秩父鉱山の道伸窪坑で産出する新鉱物の水酸エレスタド石について解説しようと思う。 水酸エレスタド石 Hydroxylellestadite 珪酸塩鉱物 化学組成 Ca10(SiO4)3(SO4)3(OH,F,Cl)2 埼玉県秩父鉱山が原産地の埼玉初の日本産新鉱物で、主に道伸窪坑で産する。 通常は淡紫色半透明でガラス光沢だが、風化すると色々と色が変わったり、ガラス光沢が失うこともある。ネソ珪酸塩鉱物。 3、採集記 第一回 2008年9月15日(月)採集 第二回 2011年8月10日(水)採集 第一回 2008年9月15日(月)採集 ←前の「大宮鉱山」を見る 大宮鉱山で少量のマンガン鉱を採集した僕らは、岩井沢鉱山に向かいましたが、発見できず、かなりショックを受けました。 埼玉県で確実に大量に鉱物が採れ、ガックリすることのない産地は秩父鉱山しかないと思い、結構距離的には離れていますが、欲張って秩父鉱山の大黒坑に向かうことにしました。 岩井沢鉱山を出て約1時間半ぐらいで大黒坑につきました。 実は、大黒坑は秩父鉱山の中では一番といってもいいほど有名な場所なのですが、一度も訪れたことがありませんでした。 ↑出合トンネル付近の崩壊箇所。写真では分かりにくいが、すごい。 ←産地付近の写真。山奥にあります。 産地の近くに車を駐車し、早速川原に降り、広い川原で採集を始めます。 僕は手始めに、遊びとして磁石で大きな金属鉱物の塊を探しました。 大きな金属鉱物の塊を見つけると、日頃のストレスをハンマーにこめて思い切り叩きます。 これを30分ぐらいやっていると疲れてきたので、大黒坑の坑口跡を見に行きました。 ←産地の川原。黄鉄鉱やらがたくさん落ちている。 ←大黒坑跡。実は橋の上からも普通に見える。 しかし、坑口に近づくのは困難そうだったので引き返し、再び川原で石を割り始めました。 父が川原で昼寝をしている間、黄鉄鉱等の金属系はもちろん、マンガン鉱なども採集しました。 〜採取鉱物〜 菱マンガン鉱、黄鉄鉱、黄銅鉱、閃亜鉛鉱、方解石、孔雀石、石英等 〜感想〜 今回は、久しぶりの金属鉱物の採集だったので、楽しかったです。 特に、質のいい菱マンガン鉱の塊を見つけられて嬉しかったです。 今度も機会があれば、またここを訪れたいと思います。 続きの「石灰沢」を見る→ ↑上へ戻る 第二回 2011年8月10日(水)採集 |