日立鉱山

訪問日 2008年9月14日(日)
場所 茨城県
天気
同行者 ○○同志会
管理体制 ?(場所によってまちまち)
産出鉱物
疲労度 ★★
危険度 ★★
オススメ度 ★★
備考 管理体制が曖昧なので、立ち入らない方が無難。

1、産地概要



2、歴史

日立鉱山は1905年(明治38年)12月、久原房之助(くはらふさのすけ)という人が赤沢銅山を買収し、この銅山の所在地の日立村の名前をそのままとって、日立鉱山としたところから開業しました。
房之助は、藤田財閥を開いた藤田伝三郎の実兄にしてその共同経営者であった久原庄三郎の子として生まれ、赤沢銅山を買収するまでは小坂鉱山の所長をやっていました。
この日立鉱山は開業後わずか数年で四大銅山の一角を占めるまでに急成長し、1981年(昭和56年)の閉山までの76年間、たくさんの銅を産出し続けてきました。
現在では、この事業は新日鉱グループに引き継がれています。

3、鉱床

日立鉱山周辺の堆積層は、広域変成作用と花崗岩類による接触変成作用を受けて、日立変成岩類となっている。
日立変成岩類は、緑色片岩、黒雲母片岩、珪質片岩、石灰岩、絹雲母片岩などからなっている。
日立鉱山の鉱床はキースラーガーに属し、キースラーガー(kieslager)はドイツ語では、kies(砂利、硫化鉱)とlager(寝床、鉱床)の合成語であり、「層状含銅硫化鉄鉱鉱床」と訳されることもある。

4、産出鉱物各論

1)、黄銅鉱 chalcopyrite 化学組成 CuFeS2 硫化鉱物

真鍮色(黄色のようなもの)金属光沢の鉱物で、自形結晶を成すものもあり、その形状は変化に富み、大変おもしろい鉱物である。
黄鉄鉱と似ているのだが、黄鉄鉱のほうが輝きが強く、金色に近いうえ、黄銅鉱は脆いので案外簡単に見分けがつくと思う。
この産地では、キースラーガーの鉱石として塊状集合として産する。

2)、黄鉄鉱 pyrite 化学組成 FeS2 硫化鉱物

この産地では、結晶片岩中に塊状集合として産するものと、鱗片状緑泥石の集合中に径数mmの結晶で産するものがある。

3)、磁硫鉄鉱 pyrrhotite 化学組成 FeS 硫化鉱物

赤茶色〜茶色〜こげ茶色をした金属光沢を持つ鉱物で、主に塊状集合として産し、磁性があることから他の鉱物と区別することができる。
この鉱物の磁性は、内部構造中のFe空きの数に依存して変わり、磁性(空き)がない種類は単硫鉄鉱と呼ばれ隕石中から見つかっているらしいです。

4)、閃亜鉛鉱 sphalerite 化学組成 ZnS (鉄閃亜鉛鉱はFeSと表すこともある。) 硫化鉱物

黒色〜橙色で黒色は金属光沢で、橙色は透明でガラス光沢と非常に色彩に富む。
大体のものは黒色でガラス光沢が強い。
鉄分が混入すると、色が黒くなり、鉄含有率の高いものは「鉄閃亜鉛鉱」と呼ばれる。
そして、樹脂光沢で色の薄いものは「べっ甲亜鉛」とも呼ばれることがある。
結晶は四面体、八面体、十二面体などがあり、四面体の結晶が多い。

5)、方鉛鉱 galene 化学組成 PbS 硫化鉱物

黒色に近い灰色で金属光沢を持つ鉱物で、立方体の結晶として産するので、区別が容易です。
この方鉛鉱は、鉱石ラジオの最初の検波に利用されたらしいです。

6)、硫砒鉄鉱 arsenopyrite 化学組成 FeAsS 硫化鉱物

銀白〜灰色・黒色や黄色などの多彩な色と形を持つ鉱物で、日本だと大分県尾平鉱山産のものが有名です。

7)、石英 quartz 化学組成 SiO2 酸化鉱物

超ポピュラーな鉱物。この産地のものは脈をなすものが多い。

8)、金紅石(ルチル) rutile 化学組成 TiO2 酸化鉱物

金紅石は、二酸化チタンの結晶の一つで、赤褐色〜黄褐色の色の結晶として産し、石英の中にあるものを「針入り水晶」とよぶ。
鋭錐石、板チタン石と同じ化学式TiO2を持っているが、構造は異なっている。このようなものを、同質多形という。

9)、方解石 calcite 化学組成 CaCO3 炭酸塩鉱物

方解石は、石灰石や大理石、さらには洞窟にある鍾乳石を構成している鉱物で、セメントに使われたり、建物の床や壁に使われたりと用途は幅広い。

10)、石膏(軟石膏・二水石膏) gypsum 化学組成 CaSO4・2H2O 硫酸塩鉱物

無色〜白色の柱状結晶として産する。
この産地では、絹雲母片岩に伴ってオレンジ色塊状で産する。現在では、貴重な存在となっている。

11)、紅柱石 andalusite 化学組成 Al2SiO5 珪酸塩鉱物

絹雲母片岩中に、淡紅色柱状で産する。肉眼的には、暗色に見える。

12)、菫青石 cordierite 化学組成 Mg2Al3(AlSi5O18) 珪酸塩鉱物

この産地のスター的存在。硫化鉱に伴うものと硫化鉱または結晶片岩を切る石英脈に産するものと結晶片岩中に豆状に産するものの三種の産状があり、見栄えがする擬六角柱状結晶の菫青石は前二者から採れる。

13)、苦土電気石 dravite 化学組成 NaMg3Al6(BO3)3Si6O18(OH)4 珪酸塩鉱物

マグネシウムを主成分とする電気石の仲間で、英名はオーストラリアの地方名「ドレープ」にちなむ。
苦土とは、日本語でマグネシウムの意味らしい。黒色針状結晶。

14)、藍鉄鉱 vivianite 化学組成Fe3(PO4)2・8H2O 燐酸塩鉱物

15)、デュモルチ石 dumortierite 化学組成 Al7(BO3)(SiO4)3O3 珪酸塩鉱物

藍色放射状の鉱物で、ここでは最大2mmに及ぶ針状結晶が産する。
ここでは、半花崗岩中に藍色放射状斑点として最大2mmにも及ぶ針状結晶が産する。

16)、緑閃石 actinolite 化学組成 Ca2(Mg,Fe)5Si8O22(OH)2 珪酸塩鉱物

結晶片岩に伴い、緑色繊維状結晶の集合として産する。

17)、白雲母 muscovite 化学組成 KAl2(AlSi3O10)(OH,F)2 珪酸塩鉱物

この産地では結構採れる鉱物。別名、「絹雲母」とも呼ばれている。岩石としては片理が発達し薄く平らに割れる。

5、採集記

第一回 2008年9月14日(日)採集


第一回 2008年9月14日(日)採集

僕は、鉱物の知識や鑑定技術などのレベルを向上させるため、鉱物同志会という名の一般鉱物団体に最近、入会しました。
その鉱物同志会主催の採集会が9月14日(日)に茨城県の「日立鉱山」で行われるとのことなので、参加してみることにしました。

僕は、朝6:00台に家を出ました。
JR山手線の田端駅に到着し、鉱物同志会が借りたバス2台のうちの一方に乗車しました。
ここから首都高に入り、常磐道を北に進んでいって、日立中央ICで降りました。
日立中央ICから日鉱記念館に向かい、駐車場に駐車して、H先生の簡単な説明を聞きました。
その後は2グループに分かれて鉱物採集、記念館見学をするのですが、僕は先に鉱物採集をすることになりました。
またバスに乗って、ある場所にバスを停め、歩き始めます。

 ←この辺りから林道に入る。

10分ぐらい歩いて行き、途中から林の中に入り、ズリに到着しました。
早速採集を開始し始めました。
皆さんはハンマーを振りまくっているのですが、あまりハンマーを振らなくてもいいような気がしたので、とりあえずズリの下の方に移動して、軽く表面採集をしていました。

 ←途中の写真。

 ←ズリの写真。ズリの上に通ってきた林道がある。

バスに戻る途中、案内してくださっているS木さんが、前来た時に隠しておいた鉱石があったので、皆で分けました。
分けている途中、早くも次のグループが来てしまいました。
日鉱記念館に戻ったら、昼飯を食べて早速見学を開始しました。
見学を終えた後は、外のベンチにずっと座っていました。
他のグループが帰ってきて、一緒に記念撮影をし、採集会終了となりました。
帰りも、バスに乗って帰りました。
ちなみに、日鉱記念館の奥にあるグラウンドの南側斜面や山道には昔採掘して捨てられた鉱石があるらしいのですが、かなり低品位らしいので、わざわざ採りに行く必要はないとのことです。

〜採取鉱物〜

1)、黄銅鉱 chalcopyrite

2)、石英 quartz

3)、紅柱石 andalusite

4)、菫青石 cordierite

5)、白雲母(クロム含) muscovite

〜感想〜

今回は、茨城県の有名な産地に行くことができ、良かったです。
今回、日立鉱山を案内してくださったS木さん、連れて行ってくださった鉱物同志会にここで感謝の言葉を述べたいと思います。どうもありがとうございました。

〜参考文献〜

日立鉱山&日鉱記念館(採集会のときに配布されたしおり) 西久保勝己・作

「日鉱記念館(パンフレット)」 新日鉱グループ 編

鉱物ウォーキングガイド 松原 聰・著

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