奥多摩鉱山

訪問日 2008年3月27日(木)
2008年11月16日(日)
場所 東京都奥多摩町
天気 一回目…曇
二回目…やや雨
同行者 一回目…W氏
二回目…父
管理体制 Free
産出鉱物 ハウスマン鉱、菱マンガン鉱
疲労度 ★★
危険度 ★★
オススメ度 ★★
備考 駐車は割りと困難。電車推奨。

1、産地概要

東京都奥多摩町にあるこの鉱山は、東京で数少ないマンガン鉱山である。
数少ないといっても、東京(離島を除く)の鉱物産地のほとんどがマンガン鉱山なので、貴重な鉱物産地でもある。
地味な鉱物が多い東京を代表する鉱山でもあり、地味なマンガン鉱の中でも地味なものを産する。
奥多摩駅からアプローチは約15分と軽いものの、車で来ると駐車スペースでかなり悩むうえ、とにかく地味な鉱物が多いので初心者にはお勧めできない産地である。

2、産出鉱物各論

1)、緑マンガン鉱 Manganosite 化学組成 MnO 酸化鉱物

この鉱物は名前の通り緑色をしていて美しいのだが、割って空気に触れた直後から酸化が始まり、2・3日すると、完全に緑色がなくなり、黒っぽくなってしまう。
永久保存は難しいので、これを発見したらすぐに写真を撮ることをオススメする。

2)、ハウスマン鉱 Hausmannite 化学組成 Mn2O4 酸化鉱物

3)、軟マンガン鉱 Pyrolusite 化学組成 MnO2 酸化鉱物 

黒色をしている鉱物で、他のマンガン鉱が酸化してできる。
軟マンガン鉱と同じ組成を持つ鉱物が、ラムスデル鉱である。

4)、石英 Quartz 化学組成 SiO2 酸化鉱物

この鉱山では普通に産する。

5)、カリオピライト Caryopilite 化学組成 Mn6[(OH)8Si4O10] 珪酸塩鉱物

6)、菱マンガン鉱 Rhodochrosite 化学組成 MnCO3 炭酸塩鉱物

この鉱山の鉱石は基本的に、バラ輝石より菱マンガン鉱のほうが多い。

7)、バラ輝石 Rhodonite 化学組成 (Mn,Ca)5Si5O15 珪酸塩鉱物

この鉱山の鉱石は基本的に、バラ輝石より菱マンガン鉱のほうが多い。

8)、方解石 Calcite 化学組成 CaCO3 炭酸塩鉱物

9)、クリプトメレン鉱 Cryptomelane 化学組成 KMn8O16 酸化鉱物

この鉱物は、他のマンガン鉱物が酸化することによってできる。やや青みがかった黒色。

10)、テフロ石(マンガンかんらん石) Tephroite 化学組成 Mn2SiO4 珪酸塩鉱物

橄欖石グループの一つで、菱マンガン鉱やアレガニー石などと共産する。

11)、ガノフィル石 Ganophyllite 

化学組成 (K,Na)6(Mn,Al,Mg)24(Si32.5Al7.5)O96(OH)16・21H2O 珪酸塩鉱物

褐色〜黄褐色の板状結晶として産する。
板状結晶が集合して球状結晶となることもある。

12)、ネオトス石 Neotocite(旧名:ペンウィス石 Penwithite) 

化学組成  (Mn,Fe)SiO3・H2O 珪酸塩鉱物

褐色〜橙褐色でガラス光沢を持つ鉱物。
ペンウィス石の他には、蓮台寺石と呼ぶ。

13)、ヤコブス鉱 Jacobsite 化学組成 MnFe2O4 酸化鉱物

黒色の鉱物で、磁性がある。

3、採集記

第一回 2008年3月27日(木)採集

第二回 2008年11月16日(日)採集


第一回 2008年3月27日(木)採集

皆さんは日本の全都道府県を訪れたいと思ったことがあるだろうか?

ある方も多いと思うが、それと同じ心理?で、最低でも自分が住んでいる地方(関東地方)の全都県の産地ぐらいは訪れようと思っていた。

さりげなく自分は東京都を除く関東地方の全ての県の産地を訪れていたので、東京都の鉱山にわざわざ出向くこととした。。


朝6:00に家を出発し、立川にてW氏と合流。
今回はW氏とハイキング&鉱物採集をする予定となっていて、南武線を使うW氏のことを考慮してここにて集合といたした。

青梅線に乗って川井駅に向かい、そこから特に何をすることもなく古里駅まで歩き、そこから「鳩ノ巣渓谷」と呼ばれている渓谷に入っていった。

最初は渓谷を離れ普通の山道を行くのだが、美しい川の流れやわさび田が見られ、中々楽しい景色であった。

川井駅から約90分で鳩ノ巣駅の近くに到着し、再度渓谷に入り白丸鉱山の近くに到着した。

白丸鉱山は普段は白丸ダムというダムの下に沈んでいる幻の鉱山なのだが、数年に一度くらいの確率でメンテナンスのためにダムの水を全放流するらしく(自分は聞いたことがないが)、その水が無くなった情報をどこで知ったのか、全国から採取家が訪れるそうだ。

それもそのはず、ここでは日本産新鉱物の「東京石」、「多摩石」をはじめ、多種類の珍しい鉱物を産出するという。

私達はダムの下の部分ではなく、地上にも坑口が露出している部分があるとのことで探索しようとしたのだが、藪が凄かったので探索せずにそのまま奥多摩鉱山へと向かった。

白丸鉱山を後にした私達は50分ぐらいかけて奥多摩駅に到着した。
ここから手持ちの文献をもとに奥多摩鉱山へと向かうわけだが、手持ちの文献で一番有力な情報が「奥多摩駅の○○500mに位置する」ぐらいの情報で、結局探索をすることに。

最初に地元の人に聞いたところ、「知らない」との返事、仕方なく勘で山の方に歩いていくと山へ入る小道があり、そこを適当に進んでいくと落石防止ネットの間を通るように道が通っていた。
そこからさらに進んでいくとズリらしきものが目に入ったのだが、肝心の鉱物がない、とのことで諦めて帰ろうとしたところ、枯れ沢が目に入ったので近くに寄って見ると、マンガン鉱発見。早速採集を開始する。

奥多摩鉱山は林の中にある薄暗いマンガン鉱山なのだが、美しいマンガン鉱石は採集できないので(失礼)、初心者にはお勧めできない産地である。

そして、奥多摩鉱山での採集を終え、奥多摩駅まで戻り、そこから「もえぎの湯」に向かった。

「もえぎの湯」は奥多摩駅から徒歩約10分の日帰り温泉施設で、露天風呂があり、川が眺められなかなかいい所である。(値段が高いのが難点)

もえぎの湯で体をあっためた私達は奥多摩駅に戻り、帰路についた。

〜採取鉱物〜

1)、ハウスマン鉱 Hausmannite

2)、菱マンガン鉱 Rhodochrosite

 ←ピンク色の部分が菱マンガン鉱。

3)、謎の鉱物

〜感想〜

正直、山歩きの方が楽しかったということは否めない。
この「鳩ノ巣渓谷」はなかなか良いので、暇な方は古里駅で降りて紅葉の時期に散策すると良いと思う。

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第二回 2008年11月16日(日)採集

いつからか東京都のマンガン鉱山を全て回ろうと企んでいた私は、前に一度訪れたことのある「奥多摩鉱山」と、今回探査に踏み切ることにした「神谷鉱山」に行くことにした。

朝5:00に家を出発し、圏央道を利用して奥多摩を目指す。
途中、古里駅の近くのコンビニで食糧補給&朝食タイムを済ます。
まだ外が暗いため、鉱山の前に奥多摩湖を目指す。

割と紅葉していたのだが、微妙な雨により、そこまでいい写真は撮れなかった気がする。。

奥多摩湖の末端に着いたときはとっくに明るくなっていたのだが、せっかくここまで来たのだからということで、近くにあるドラム缶の橋として有名な「麦山浮橋」へと向かった。

浮橋付近の景色は良かったのだが、本当は釣り禁止のはずなのに朝早いからか結構な人数の人が釣りをしていて、写真を撮っているとやや邪魔そうな目で見られたのが少々癪である。

 ←浮橋。ドラム缶の上に橋が渡してある。安全柵あり。

ドラム缶橋の見学後はもう一度奥多摩鉱山の方へ戻り、適当な所に車を停めて奥多摩鉱山へと歩いていった。



↑奥多摩鉱山へと至る道からの景色。晴れていたら・・・

前にここにはW氏と訪問したのだが、時間がなくて全然探索していなかったので、今回は枯れ沢を登っていくことに。
結局、雨のせいでやる気がないからか坑道は見つからなかったが、採掘跡のようなものは何とか発見できた。

 ←沢。マンガンは豊富だが、綺麗なものは少ない。

奥多摩鉱山を出て、車まで戻り、今度は五日市側の神谷鉱山の方に向かった。

が、父の予定もあってかあまり時間がなく、またやる気もないことから探査をやめて、周辺観光に切り替えた。

〜採取鉱物〜

特になし

〜感想〜

今回は、ちゃんとズリの上の方まで探査できて良かったが、全体的に天気が悪かったのが残念である。
この後、大岳鍾乳洞と三ツ合鍾乳洞を見学して、そのあと秋川(?)の化石産地に寄って帰った。
大岳鍾乳洞は、観光鍾乳洞の割には探険心をそそられ、なかなかいい所だったので、割りとオススメである。(洞窟が好きじゃない人にはオススメしません。)

〜参考文献〜

鉱物観察ガイド 松原聰 編著 加藤昭・千葉とき子・宮脇律朗 著

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