錫高野

訪問日
場所
天気 一回目…晴
二回目…晴
同行者 一回目…父
二回目…父
三回目…○○中高地学部
管理体制 Free
産出鉱物 水晶、錫石、トパーズ、蛍石等
疲労度 ★★
危険度 ★★
オススメ度 ★★★
備考 産地は結構広い。

1、産地概要

茨城県の中央西部に位置する城里町(旧:七会村)に位置する「錫高野(すずごや)」では、かつて、主に錫を目的として採掘をおこなっていた。
尾根を挟んで反対側に位置する産地を「高取鉱山」と呼び、ここと合わせて大きな錫鉱採掘地であった。
それだけあって、ここでは錫石の他に、水晶やトパーズ、蛍石や良質の菱マンガン鉱等様々な鉱物を産出し、茨城県の代表的な産地となっている。

2、産出鉱物各論

1)、石英 quartz(水晶 rock crystal) 化学組成 SiO2 酸化・珪酸塩鉱物

この産地では石英はいくらでも落ちているが、水晶は少し探さないとない。
運が良ければ、この産地のものとは思えない透明度の高い良品が得られる。

2)、蛍石 fluorite 化学組成 CaF2 ハロゲン化鉱物

モース硬度計の硬度4の基準鉱物で、ポピュラーな鉱物である。
色は透明なものから紫、緑、青など様々なものがあり、形も正八面体や立方体などがありなかなかバリエーションがある。
錫高野では蛍石露頭とその下のズリで採集するのが一般的だが、一応どこでもでる。

3)、黄鉄鉱 pyrite 化学組成 FeS2 硫化鉱物

この産地では、石英に伴って産出する。
立方体結晶も結構ある。

4)、黄銅鉱 chalcopyrite 化学組成 CuFeS2 硫化鉱物

真鍮色(黄色のようなもの)金属光沢の鉱物で、自形結晶を成すものもあり、その形状は変化に富み、大変おもしろい鉱物です。
黄鉄鉱と似ているのですが、黄鉄鉱のほうが輝きが強く、金色に近いうえ、黄銅鉱は脆いので案外簡単に見分けがつくと思います。

5)、菱マンガン鉱 rhodochrosite 化学組成 MnCO3 炭酸塩鉱物

この産地ではあまり産しない。山を隔てて反対側の高取鉱山では、透明な方解石がそのまま赤透明な菱マンガン鉱に置き換わったような美しいものを産出するらしい。

6)、鉄マンガン重石 wolframite 

化学組成 (Fe,Mn)MnWO4 タングステン酸塩鉱物

この鉄マンガン重石は今では鉄重石(ferberite)と呼ばれ、この鉄重石は成分によって鉄重石とマンガン重石に分けられる。
ここでは、石英に伴って黒色柱状結晶で産する。

7)、孔雀石 malachite 化学組成 Cu2CO3(OH)2 炭酸塩鉱物

緑色皮膜状の鉱物で、この産地ではあまり産しない。

8)、トパーズ(黄玉) topaz 化学組成 Al2SiO4(F,OH)2 珪酸塩鉱物

このトパーズは、宝石としても有名で、無色、青色、橙色、桃色、黄色など様々な色があり、大変人気でかつ有名な鉱物で、モース硬度計の硬度8の基準鉱物となっている。
トパーズは成分によってOH-typeとF-typeがあり、日本で産出するのは基本的に後者の方である。
ここでは、5mm以下の透明な結晶がズリ石の表面にたくさん(?)ある形で見つかる。

9)、錫石 cassiterite 化学組成 SnO2 酸化鉱物

酸化スズで出来ている錫の重要な鉱石で、黒色〜黒褐色の色で柱状結晶としてさんする。
まれに結晶が複雑な形に交差したりすることがある。
国内では主に、京都府の行者山や大分県の木浦鉱山、鹿児島県の錫山鉱山で産する。
また、砂礫中に産するもの「砂錫(さすず)」とよび、美しい木目模様を持つものを「木錫(もくしゃく)」とよぶ。


3、採集記

第一回 2006年5月6日(土)採集

第二回 2008年2月24日(日)採集

第三回 2009年4月1日(水)採集


第一回 2006年5月6日(土)採集

僕は茨城県の鉱物産地に行きたいと思っていました。
茨城県には、観光でもあまりいったことがなく、またあまり標高が高い山がないので、鉱物産地が少ないと思い、逆にその少ない鉱物産地が気になったからです。
鉱物産地は予想通り少なかったのですが、有名な産地はいくつかありました。
その中の「山ノ尾」は立ち入り禁止、「雪入」は現在採集ほぼ不可能、「妙見山」はほとんどの場所で採集禁止とあったので、残った有名産地は「錫高野(すずごや)」ぐらいでした。
その錫高野ではトパーズや錫石が採れるとのことなので、僕は近くにある「大正鉱山」という産地とあわせて行ってみることにしました。

僕は朝の6:00頃に家を出ました。
常磐自動車道を北に進み、どこかのICで降りて、城里町(旧:七会村)に向かいます。

実は、前に一度ここを訪れたことがあるのですが、産地の入口のゲートが見つからずに引き返した苦い思い出があります。
今回はそのような失敗がないように、産地の入口にあるゲートの写真を印刷して持っていったので、まったく迷うことなく産地の入口に到着しました。

産地の入口はゲートで塞がれていて車で通れないので、ゲートの周辺に車を置き、あるき始めました。
ゲートを越えて歩き始めてすぐ、分岐がありました。
ここはとりあえず勘で左に進みました。
あと2つぐらい小さな分岐があったのですが、道なりに進めば大丈夫です。

20分くらい歩き、少し水が流れている沢の側を通ろうとしたその時です。

後ろを歩いていた父が突然大声をあげました。

何だと思って後ろを見ると、父が自分の方を指差しています。

ふと足元をみると、股の間を何だか色とりどりのいかにも毒蛇という感じの蛇がゆっくりと移動していました。

ズボンに触れるぐらい近くを通っていたので、動くことが出来ず、ずっとその場で硬直していました。

幸いにも、蛇は興奮することなくその場を去っていきました。

それにしても、多分あの蛇はペットが逃げ出しものなのではないかと思います。

本当に色とりどりで、日本にはいないような種類だったので・・・

そんなハプニングもありましたが、産地の入口から歩くこと約30分。右手に大きなズリが見えてきました。
早速ズリに取り付いたのですが、何分初心者なので、鉄マンガン重石を錫石と勘違いし、喜ぶレベルでした。(トパーズは全く分からず)
まあ、その程度でしたので30分ぐらい採集して引き揚げました。

採取鉱物

1)、鉄マンガン重石 wolframite

2)、黄銅鉱 chalcopyrite

3)、石英 quartz 

感想

ここに来たものはいいものの、錫石やトパーズがどのようなものか分からなかったので、見つけることは当然できませんでした。
なので、次行くときまでには眼力をもっと養っておきたいと思います。

錫高野に行ったものの、眼力がまだ養われていないせいか鉄マンガン重石を錫石と勘違いして喜んで車まで引き返したものの、何故か満足していなかったので(まあ錫石ではないので・・・)、近くにある「大正鉱山」に向かうことにしました。

錫高野を出た僕達は大正鉱山に向かう前に、「高取鉱山」の入口を覗いて見ました。
一応現在は操業はしていないものの、日曜には係の人が居るとの噂があったので行ってみたところ誰もいなかったので、諦めて引き返して大正鉱山がある「仏国寺」の方へと向かいます。

大正鉱山では、立派な錫石を産出するらしく、今まで何度か採集会も行ったそうです。

産地の入口に到着し、車を停めて歩き始めました。
すると本日二回目の蛇と遭遇し、ビビリつつも暗い杉林の中を進んでいくこと約10分。
左手にズリのようなものが見えてきました。
早速錫石を探し始めましたが、何しろ錫石を判別できないもので・・・結果は明らかです。

ということで、20分ぐらいで飽きて産地を引き揚げました。

採取鉱物

1)、鉄マンガン重石 wolframite

2)、黄銅鉱 chalcopyrite

3)、石英 quartz 

感想


ここでも錫高野と同じく成果がありませんでした。
次来ることがあれば、錫石を採りたいと思っています。


第二回 2008年2月24日(日)採集

余談ですが、実はこの日は、群馬県の三ツ岩岳に行く予定でした。
しかし、積雪のためか氷が張ったためか、高速道路が全面通行止めになっていたので、急遽計画を変更して、茨城県の錫高野に行くことになりました。(チェーンやスノータイヤはつけないので・・・)

僕は朝の4:00に家を出ました。
関越自動車道に乗ってすぐ、「群馬県全面通行止め」の情報が目に入ったので、外環自動車道を通って常磐自動車道に入り、北へと進みました。
どこかのIC(忘れているだけ)でおり、錫高野へと向かいます。

産地の近くにある「山桜城里町特産センター」で一息いれ、錫高野のゲートの入口の付近に車を停めました。

 ←このゲートの横から入る。

ゲートのところまで歩いていくと、何やら見慣れない看板がありました。

 ←ゲートのすぐ側にある看板。

どうやら、「高取鉱山」についての解説と地図がかいてあるものらしいですが、鉱物採集家の間ではこちら側(尾根を挟んで反対側が高取鉱山)を「錫高野(すずごや)」と呼んでいます。

看板を軽く読み、単調な道を永遠と歩いていきます。
途中、水溜りに氷が張っていたりして踏んで割って楽しんでいました。

大体30分ぐらい歩くと、下の写真の大ズリに到着しました。

 ←産地の大ズリ。とにかくでかい。

今回は色々な採集ポイントを見つけるのが目的だったので、数分間視察しただけで奥へと進みました。

すると、今度は下写真の風が吹き荒れて寒い谷がありました。

上まで登っていきましたが、少し鉱石があっただけで特にめぼしいものはありませんでした。

ここより更に先へと進むと、林道は大きく左にカーブし、踏み分け道がそのカーブの場所から真っ直ぐのびていましたが、どっちも探索する気になれなかったので引き返しました。

感想

ここではほとんど何も採れませんでした。
元々三ツ岩岳に行く予定だっただけに、採集する意欲も沸きませんでした。
この後、近くの「大正鉱山」というところに向かいましたが・・・

最初に行く予定だった群馬県の三ツ岩岳に高速道路の規制によって行けなくなり、その代わりに急遽茨城県の錫高野へと向かった僕達は採集意欲が低下していたので、何も採集することなく産地を引き揚げました。
その代わりに、近くにある「大正鉱山」という産地に出向くことにしました。

錫高野を出た僕達は、大正鉱山の近くの仏国寺の方に向かいました。
産地の近くに駐車し、歩き始めました。

 ←産地への入口。本当にここかは分からない・・・

そして、前ズリがあった場所へ着くと・・・

石がまったくありません。

場所を間違えたのかと思って周辺を探索しても、ズリは見つかりませんでした。

もしかしたら、ズリは消滅したのかも知れません・・・

P.S. 

後で先輩のK氏にこの産地の現況について聞いたところ、僕のあとにこの産地に出向いたそうですが、普通にズリがあったそうなので、僕がズリを発見できなかっただけだったことが発覚しました。
やる気がなかったせいでしょう。

感想

今回、ほとんど何も採ることができず、本当に残念です。
次回ここに来ることはないかもしれませんが、もし再訪したら、今度こそ眼力を鍛え、錫石を採りたいと思います。
ちなみに、帰りは石の百年館というところに寄っていきました。


 ←百年館と採石場。


第一回 採集 

〜採取鉱物〜

〜感想〜

↑上へ戻る


第二回 採集

〜採取鉱物〜

〜感想〜

↑上へ戻る


Back