その他の中部の鉱物産地

ここでは年月順不同で詳しく公開していない産地のいくつかの採集記を公開しています。
かなり適当なので、参考になるかは怪しいところです。。

黒平

黒平は山梨県甲府市黒平にあるペグマタイト産地で、晶洞(鉱物界ではガマともいう)と呼ばれるものをハンマーなどで開けて、鉱物を採集する。
この晶洞という物は、一般の方に分かりやすくいうと鉱物の宝箱みたいなもので、この中には大量の水晶(石英)や長石が入っていたりする。
しかし、晶洞は当たりはずれが大きく、運がいいと水晶だらけの晶洞に出会えるが、運が悪いと長石だらけの晶洞に当たってしまう。
しかも、この晶洞自体を見つけるのも難しく、開けるのも大変なので、この産地は初心者には向いていない産地といえよう。

つまり、私のような初心者が個人で行ってもな〜んにも採れないということである。

前置きはさておき、当日。「昇仙峡」を通りぬけて、目的の黒平の集落を目指す。
黒平の集落へ向かう道は途中工事中とのことなので、迂回路を辿って進む。

黒平辺りに到着したら、とりあえず地形図を見ながら近くの沢を適当に登ってみることに。

……いい感じの場所は結構あるのだが、どこで採るのかまったく分からず、たいした物は一つも採れなかった。

この後向山鉱山に行きたかったのだが時間がないとのことで、大島の灰長石産地に向かった。

 ←昇仙峡のどっかの滝。

大島

上の続き。

大島の灰長石産地は、日本三奇橋の一つの「猿橋」の近くにあり、市指定天然記念物になっている。その記念物指定から運良く逃れたのが当産地で、薄暗い沢の中に灰長石を含む母岩がある。

 ←ここから沢に入る。

母岩はオレンジ〜赤みたいな色で、白色の大きな結晶を含むのが目的のものである。
大島の灰長石産地が何故貴重かというと、この灰長石の結晶が日本でも類をみないほど大きいからである。
事実、3cm以上の結晶を含む石がゴロゴロある。
が、人間はいくら貴重なものでも大量にあると飽きてしまうもの。
早々に飽きた自分は近くの観光名所の猿橋を見て帰った。

 ←猿橋。

・採取鉱物

灰長石 Anorthite

居倉

自分の所属しているとある学校の地学部では、夏に甲武信周辺で3泊4日の地学合宿を行うこととなり、長野県に行くこととなった。
まず、一人で長い時間普通電車を乗り継いで山梨県の小淵沢駅まで行き、そこから地学部の人の何人かと一緒に小海線で信濃川上駅を目指した。
そこで待っていた湯沼鉱泉の送迎バスに乗って、まず湯沼鉱泉に向かった。
前に聞いた噂によると、湯沼鉱泉の社長が病気にかかり、今は入院しているとかという話を聞いていたが、それは本当であった。(いち早い回復を願っております)
そこで適当に準備をし、最初の産地「居倉」に向かうこととなった。

・産出鉱物

1)、石英 quartz(水晶 rock crystal) 化学組成 SiO2 酸化鉱物

ここでは、角閃石入りの水晶や、綺麗な緑水晶が結構採れるはずだったが、産出量が激減し、いいものを採集しようとなると難しい。

2)、灰礬柘榴石 grossular 化学組成 Ca3Al2(SiO4)3 珪酸塩鉱物

ここの産地の灰礬柘榴石は有名で、緑色や褐色の大きな群晶を産する。
そして、この産地では比較的多く落ちている鉱物の一つでもある。

3)、石膏(軟石膏・二水石膏) gypsum 化学組成 CaSO4・2H2O 硫酸塩鉱物

無色〜白色の柱状結晶として産する。
ここでは大きい結晶を稀に産出する。

その他、灰鉄柘榴石など、結構な種類の鉱物がここで採れる。

湯沼鉱泉の宿から出た自分達は、まず、「天然水晶洞」という所に向かった。
この「天然水晶洞」は、わざわざ洞窟のようなトンネルを掘り、その中に鉱物を展示したもので、ヘタな博物館よりずっと見ごたえがある。

 ←天然水晶洞の入口。それらしい雰囲気はでている。

川上村の日本式双晶はもちろん、全国各地+世界の鉱物が展示されている。
それを適当に見学し、出口から出ると目の前に採石場のような場所がある。ここが本産地である。
前に一度ここで採集したことがあるのだが、通りすがりに採っただけであったので、この産地の広さには驚かされた。
適当に水晶やらを30分くらいかけて採集し、宿へ戻った。
余談だが、ここの宿の浴場は、シャンプーや石鹸等はたくさんある割りには、シャワーが二つしかなく、しかも一つが壊れそうなので、洗うのには時間がかかる。
まあ、少し機転をきかせればすぐに解決できるであろう。
あと、宿泊代金の安さの割りには、夕食が豪勢な感じがした。

・採取鉱物

1)、石英 quartz(水晶 rock crystal)

2)、灰礬柘榴石 grossular

延明鉱山

午前4:00家発、東名高速や修善寺道路等を利用しつつ産地近くに到着。
ぱっと見て周囲に産地がある気配は全くないので、適当に周辺を探索して適当に沢を渡ると金鉱石がゴロゴロしている場所を発見。
早速辺りを探索すると、坑道を3つ以上発見。
最初の坑道郡2つ(1つは縦穴あり?)のうち一段上にある方には割と鉱石があった。
恐らく一番奥の坑道と思われるものはこの辺りでは長く、総延長は15mくらいあった。
一番奥の坑道(多分)はそこそこ長く、総延長は15mくらいありました。

 ←坑道の一つ。最初に中に入った場所。

しかし、特にこれといってあげるものはないので、次に「鍋沢鉱山」を目指した。

 ←伊豆でも降る時は雪が降ります。

天城峠に近づいてくると、予想外なことに雪が降り始めた。
構わず鍋沢鉱山があるところを目指し、車で走り続けた。
産地の駐車スペースに到着し、一回偵察に行ったが、雪がこのまま積もると危ない(というか寒くてやる気が出ない)ので引き返して次の産地へと向かった。

・産出鉱物

両方の鉱山で自然金を産する。

浄蓮鉱山

・産出鉱物

1)、石英 Quartz 化学組成 SiO2 酸化鉱物

どこでも産出するといってもいいほどポピュラーな鉱物。
ここでは、この石英に伴って銀鉱物を産する。
紫がかったものも結構ある。

2)、方解石 Calcite 化学組成 CaCO3 炭酸塩鉱物

方解石は、石灰石や大理石、さらには洞窟にある鍾乳石を構成している鉱物で、セメントに使われたり、建物の床や壁に使われたりと用途は幅広い。

3)、針銀鉱 Acanthite(輝銀鉱 Argentite) 化学組成 Ag2S 硫化鉱物

別名、硫銀鉱ともいう。輝銀鉱は高温で安定する鉱物で、常温では針銀鉱に遷移するが、鉱物採集者の間では基本的に「輝銀鉱」と呼ばれている。

その他、方鉛鉱や黄鉄鉱、閃亜鉛鉱等を産出。

上の続き。

鍋沢鉱山を出発し、浄蓮の滝の駐車場にて少し休むことにした自分達の目に入ったのが「モッフル」。
説明によると、お餅とワッフルを合わせた「ワッフルの形をしたお餅」のことで、餅よりはすこしパリっとしている。
最初は怪訝な目を向けたが、「ハムチーズ」だか何だかのメニューに惑わされ、買ってしまった。
・・・・うまい!!!(予想外)
予想外のうまさに、ビックリ。
ただ、父がきなこだか何だかのごく普通のメニューを頼んでしまったのが印象的である。
そして銀鉱石を採掘していた鉱山である「浄蓮鉱山」に向かいました。
さっきまでは雪が降っていたのに、少し標高を下げただけで晴れてしまうなんて・・・
やはり山は恐ろしい。
浄蓮鉱山の入口に車を停めて、歩き始める。

 ←こんな橋がありました。

上の写真の橋を渡り、沢沿いに上流に向かうと、ズリらしきところがあったので、そこで採集を開始。
が、実は銀鉱石の採集は初めてで、図鑑でも全然見ていないので、何が何だが分からず、結局すぐ採集をやめて帰る羽目に。(いつものパターン)
しかも、帰る途中に落とし穴らしきところにはまってしまったので、やる気がダウン。
それでも、無理矢理なにか採集したいという思いで、無謀にも、今は林道が舗装されて沸石絶賛と云われている「大洞林道」に向かった。
1時間ぐらいかけて大洞林道に到着すると、なるほど、たしかに路面は舗装されていた。(ごく一部)
諦めの悪い自分は、寒くて強い風が吹き荒れるなか1時間ぐらい黙々と沸石を探し続けた。
結論としては、まだ沸石はあるが、湯河原沸石の良品は期待しないほうがいいということ。
これでもまだ諦めきれない私は土肥金山にて観光。
そして昼食後には、本日最後の産地「小土肥(おどい)鉱山」に向かったが、疲れと時間のせいで産地すら見つけられずに終了。
その後、山中のどこかの温泉に入り、帰宅。

大洞林道

・湯河原沸石 yugawaralite 化学組成 Ca(Al2Si6O16)・4H2O 珪酸塩鉱物

無色の沸石類の一つで、神奈川県湯河原町不動の滝が原産地の日本産新鉱物。
この不動の滝は記念物指定されているので、採集できない。
なので、この大洞林道は一時、湯河原沸石の産地として有名になった。
(上の浄蓮鉱山を参照のこと)

小土肥鉱山

金等を産出。(上の浄蓮鉱山を参照のこと)

土肥金山

観光化された鉱山。もちろん金を採掘していた。
砂金採り体験が出来る。(上の浄蓮鉱山を参照のこと)

上多賀

この産地を訪れる一週間ほど前に、自分が所属する地学部の春合宿にて東伊豆に行ってきたのだが、その時の興奮がまだ冷めておらず、また出向くことにした。

朝の4:30に家を出て、東名自動車道に乗って最初の目的地である上多賀を目指す。

上多賀は鉄かんらん石等を産出する海岸沿いの産地らしく、地図と照らし合わせて、産地付近に到着した。

←産地からの風景。

イタリア料理店(?)の側から海岸に降りてそれらしい石を探したが、まだまだ知識が足りないせいか、何を採ればいいのかする全く分からなかったので、すぐに撤退して次の「宇佐美」という産地へ。

宇佐美

上多賀を出てから南へ行くこと20〜30分で産地と思われる場所の近くに到着。
宇佐美はこれまた海岸沿いにある産地で、磁鉄鉱・チタン鉄鉱、クリストバル石(方珪石)、苦土橄欖石、普通輝石、灰長石などの鉱物を産出するマイナーな産地である。(灰長石以外は微小)

 ←海岸に下りる場所。

海岸に下りて2〜3分歩くと、灰長石を含む転石が大量にある場所に到着した。

が、何せ大量にあるので、すぐに飽きてしまい、海に石を投げたりして暇を潰したあと、早々に引き揚げて次の産地の「富戸」に向かうことにした。

富戸

宇佐美からまた南へ進んで富戸を目指す。
富戸ではクリストバル石(方珪石)、鱗珪石などの鉱物を産出するらしく、前の2産地がダメダメだったせいか、否が応でも期待してしまう。

が、30分くらい探したて見つからなかったので断念して「やんだ」へと向かった。

寝姿山

「三倉鉱山」で重晶石を採って満足したのもつかの間、調子に乗って小松野鉱山の探索に乗り出してしまってが発見できずやる気がまたなくなっていた自分達は、再びやる気をおこすべく有名産地の「寝姿山」のラムスデル鉱を狙うことにした。

この産地は下田市の観光名所「寝姿山」の近くにあり、下田城(人は全然いない)の近くに車を停めて、周辺の探索を開始した。
今回はたまたま産地の入口をすぐ見つけられたが、かなり分かりにくいので、文献等であらかじめ調べておかないと辿り着くのはキツイかと思われる。
さて。産地は発見したはいいものの、どれがラムスデル鉱か分からない。(黒い脈に入っているらしいが)
ということでそれらしい脈を含む岩石をいくつか採集して撤退。高根山鉱山へ向かった。

産出鉱物

・ラムスデル鉱 Ramsdellite 化学組成 MnO2 酸化鉱物

この産地のラムスデル鉱は、紫色をした流紋岩についている黒い脈の中に、金属光沢をした銀黒色〜黒灰色の小さな結晶として産する。
なお、この鉱物は酸素に触れすぎたり、日光にあたりすぎたりすると他の鉱物に変化したり、色が褪せたりする。

高根山鉱山

産出鉱物

・ランシー鉱

御所平

産出鉱物

・普通輝石 augite 化学組成 (Ca,Mg,Fe)2Si2O6 珪酸塩鉱物

輝石類でもっとも普通に産するカルシウムを含む単斜輝石(単斜晶系の輝石)の仲間で、カルシウムの割合が減るとピジョン輝石pigeonite((Mg,Fe,Ca)2Si2O6)になる。
黒色〜暗褐色柱状結晶。
この産地のものは1mmから7mmのものが多い。

前日は川端下まで採集に行って色々あって疲弊していたので、合宿の4日目(最終日)はのんびり過ごそうということで、御所平の輝石産地に行くことに。
朝、散歩をして朝食を食べた後、のんびりと宿を出発。
途中大きなスーパーに寄り、そこでビンに入ったりんごジュースと桃2個を購入。
そこから少しバスに乗って行くと、大きなレタス(?)畑の向こう側に赤茶色い大きな地層が露出している部分があったので、近くにバスを止めてもらい、歩いてそこまで行って、そこで採集を開始。

 ←産地付近の写真。

30分ぐらい採集してバスに向かいに来てもらい、信濃川上駅まで送ってもらい、解散となった。
そこから小海線で小淵沢まで行き、特急「あずさ」号か「かいじ」に乗って帰宅。


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