西ノ牧鉱山

訪問日 2008年1月6日(日)
2008年12月21日(日)
場所 群馬県下仁田町
天気 一回目…晴
二回目…晴
同行者 一回目…父
二回目…父
管理体制 ?(小坂鉄山研究会との噂)
産出鉱物 鶏冠石、若林鉱、辰砂等
疲労度 ★★
危険度 ★★
オススメ度 ★★★★
備考 管理体制が曖昧なので、現在は立ち入らない方が無難。

1、産地概要

この産地は群馬県下仁田町南野牧にある鉱山で、砒素を目的として採掘を行っていた日本では数少ない砒素鉱山である。
昔は西牧(さいもく)鉱山と呼ばれ、花火の原料として盛んに砒素を採掘していたそうである。
この鉱山では主に鶏冠石や新鉱物の若林鉱、石黄(雄黄)を産する。
この鉱山に行くには車があれば楽だが、バスとなると大変である。
砒素鉱山だからか何となく長居はしたくないような雰囲気がただよっているので、長居はしないほうがいい。
現在は、管理体制が曖昧なので、採集はしない方が無難。

2、産出鉱物各論

1)、鶏冠石 Realgar 化学組成 AsS 砒化鉱物

この鉱山の代表的な鉱物。
鶏冠石という名は、鶏のトサカに色が似ていることからつけられ、名の通り、色は赤色で、皮膜状または柱状結晶として産する。
特に、後者の柱状結晶は美しいが、ほとんどのものが1cm以下と小さい。
若林鉱と共生していることがあるので、よく調べる必要がある。

 

2)、若林鉱 Wakabayashilite 化学組成 (As,Sb)10S14 砒化鉱物

この鉱物は、ここ群馬県下仁田町西ノ牧鉱山が原産地の日本産新鉱物で、石英や雄黄の晶洞中に、黄色〜橙色の六角柱状や針状〜毛状結晶として産する。
この鉱物の産出は非常に稀で、見つけたら本当にラッキーだろう。
鑑定するコツは、若林鉱がもつ折り曲げても折れない性質(可撓性)を利用することで、もしここで産する黄色〜橙色の鉱物が折れそうなぐらい曲がっていても折れていなかったら、本鉱である確率は高い。

3)、石黄(雄黄) Orpiment 化学組成 As2S3 砒化鉱物

橙黄色〜灰黄色で樹脂光沢をもつ柱状結晶として産する。
鶏冠石や若林鉱と共生していることがあるが、現在、この鉱山では産出は稀になってきている。
鶏冠石が分解して出来たものは粉末状になっていることがある。

4)、輝安鉱 Stibnite 化学組成 SbS 硫化鉱物

鉛灰色金属光沢の柱状結晶として産する。
石英と共生していることが多いので、探す目安となる。
近くにある中丸鉱山と同じく、輝安鉱の表面を黄安華が覆っている場合もある。

5)、石英 Quartz 化学組成 SiO2 酸化鉱物

この鉱山では意外と数は少ないが、普通に見られる。
ごく稀に若林鉱と共生しているときがあるので、チェックが必要。

その他、硫酸鉛鉱や重晶石等を産する。

3、採集記

第一回 2008年1月6日(日)採集

第二回 2008年12月21日(日)採集


第一回 2008年1月6日(日)採集 

続きの「中丸鉱山」を見る→

私が鉱物採集を始めてから2〜3年が経ち、ふと今まで行った産地を振り返ると、水晶を産出する産地ばかり行っているということに気付いてしまった。
これは水晶以外の鉱物を産出する産地に行かなければ…と思い、手持ちの文献をあさる。
すると、群馬県の西ノ牧鉱山という所で赤い「鶏冠石」という鉱物を産出するという情報があり、赤い鉱物は多分採集したことがないと思われたので、この産地に行ってみることにした。

今回は午前6:00ぐらいに家を出発。
関越自動車道を北に進み、途中で上信越自動車道に入り、下仁田ICで降りる。
そこから情報通りに下仁田町へ向かい、適当な場所に車を停め、歩き始めた。

歩き始めるとまず、下のような写真の橋をくぐる。

 ←橋。国道の下を通っている。

そこから少し歩いていくと、砂防ダムが見えて来る。

ここからは文献の情報が古すぎて(かどうかは分からないが)場所が分からないので、適当に歩を進めていき、いくつかある踏み分け道のうちの一つを進んでみることに。
すると何とも運がいいことに、それらしい場所に着いてしまった。

小さな砂防ダムを越え、少し進むと下写真の坑道を発見。

 ←土に埋もれかかっている坑口。塞がれている。

この坑口からは怪しい廃液が流れ出ていたので注意。
多分、ここは砒素鉱山だということから鉱毒防止のために塞いだのだと推測。
とりあえず坑口の側にはいたくないのでここを離れ、近くで採集を開始。

鶏冠石は普通にゴロゴロ転がっていたが、若林鉱は見つけられなかった。

何故かここには長居したくないような雰囲気だったので早々に引き揚げ、近くにある「中丸鉱山」に向かうのであった。

〜採取鉱物〜

1)、鶏冠石 Realgar

 ←深紅の鶏冠石。結構綺麗である。

2)、石英 Quartz

〜感想〜

この産地に行って鶏冠石が好きになってしまった。
夏に行くと暑さと共に、虫や植物に困らされる可能性が高いので、冬に行くことをオススメする。
いずれにせよ長居はしたくない産地だということは報告しておく。

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第二回 2008年12月21日(日)採集

続きの「中丸鉱山」を見る→

皆さんは年末に何をするだろうか?

ショッピング、クリスマスや大晦日のイベントに参加、年賀状作成・・・
色々とあると思うが、私の場合は、年を無事に越すために、年末の鉱物採集をしなければならない。

が、この時期下手に標高や緯度が高い所へ行くと雪に阻まれて採集できないので、そこそこの寒さの場所を考えたところ、群馬県の「西ノ牧鉱山」が浮かんだのでそこで採集をすることに。

朝何時かに家を出て、関越自動車道に乗る。
北西へと進んで行き、上信越自動車道に入り、下仁田ICにて高速を降りる。
そのまま国道何号線かを進み、下仁田町にある西ノ牧鉱山の近くに到着。

前回来たときは大分離れたところに車を停めたので、今回はもうすこし林道を進んでみることに。

前の記憶を頼りに林道を進んで行き、途中の踏み分け道に入って進んでいくと、西ノ牧鉱山に到着した。

  ←産地の様子。

早速採集を開始するのだが、この産地はやはり長居したくない雰囲気が漂っているので、早々に引き揚げて、中丸鉱山へ向かった。

〜採取鉱物〜

・鶏冠石 Realgar

 

↑薄い鶏冠石がベッタリと母岩に付着したようなものが多い。

〜感想〜

今回は前より多く、そこそこの質の鶏冠石を採集できたのでとりあえずは満足だったが、やはり若林鉱を見つけなければ最高の満足は得られないと思った。
またここを訪れたいと思う。


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