田野畑鉱山

訪問日 2008年8月15日(金)
場所 岩手県田野畑村
天気 雨後曇
同行者
管理体制 Free
産出鉱物 マンガン系
疲労度 ★★(2坑)
危険度 ★★(2坑)
オススメ度 ★★(2坑)
備考 3坑の藪はひどい。

1、産地概要

岩手県どころか日本を代表するマンガン鉱山。主に3つのポイントと2つの鉱床があり、特に3坑の「松前沢鉱床」では、数々の日本産新鉱物を産出している他、セラン石や灰バナジン柘榴石等比較的珍しい鉱物も多種類産出している凄い産地である。

2、産出鉱物各論

1坑と2坑(田野畑鉱床)と3坑(松前沢鉱床)があり、主に2坑と3坑から高品位マンガン鉱を産出する。
ここでは、2坑と3坑で産出する鉱物を表としてまとめた。化学組成は他のページを参考にしてもらいたい。

和名 英名 産出坑 備考
バラ輝石 Rhodonite 2坑、3坑 マンガンの主要鉱物。マンガン鉱物の中で最も有名で、多産する鉱物。赤色で結晶は緻密。
菱マンガン鉱 Rhodochrosite 2坑、3坑 外観はマンガン鉱に似ているが、こちらのほうがやや赤色が薄い。ピンク色〜白色で産する。
神津閃石 Kozulite 2坑、3坑 日本産新鉱物。ここが原産地。
ソーダ南部石 Natronambulite 3坑 日本産新鉱物。ここが原産地。
南部石 Nambulite 3坑 日本産新鉱物。オレンジ色をしているので他のマンガン鉱と容易に区別できるが、ソーダ南部石とも肉眼的区別は不可能。
セラン石 Serandite 2坑、3坑 わりと珍しい鉱物で、ピンク色で繊維状の結晶で産する。
ブラウン鉱 Braunite 2坑、3坑 マンガンの主要鉱物。黒色。
ハウスマン鉱 Hausmannite 2坑、3坑 マンガンの主要鉱物。黒色〜褐色で、多量に産出する。
エジリン輝石 Aegirine 2坑 褐色系の粒状鉱物で、劈開があまりはっきりしていない。
石英 Quartz 2坑、3坑 マンガン鉱中などに普通に産する。
吉村石 Yoshimuraite 3坑 日本産新鉱物。黄褐色で雲母に似ている外観をもつ。
鈴木石 Suzukiite 3坑 日本産新鉱物。ここが原産地で、群馬県の茂倉沢鉱山と比較して、大きく、結晶が美しい。緑色板状結晶。
わたつみ石 Watatsumiite 3坑 日本産新鉱物。ここが原産地で、最近発見されて有名になった鉱物。緑色粒状で産する。
カリリーク閃石 Potassicleakeite 3坑 日本産新鉱物。ここが原産地。
長島石 Nagashimalite 3坑 日本産新鉱物。黒色の結晶が板状で産する。
灰バナジン柘榴石 Goldmanite 3坑 珍しい鉱物で、満バナジン柘榴石(大和石)を含むことがある。
ペクトライト Oectolite 2坑、3坑 セラン石のピンク色が薄い場合はこの鉱物にあたり、この二つは同じ結晶構造で、カルシウムとマンガンが置換しあう。
田野畑石 Tanohataite 3坑 ここで新たに発見された鉱物。新鉱物の登録申請中。
アルベゾン閃石 Arfvedsonite 3坑 褐色系の粒状鉱物で、劈開がはっきりしている。
黄鉄鉱 Pyrite 2坑、3坑 マンガン鉱ではないが、一応ここでも産する。
黄銅鉱 Chalcopyrite 2坑、3坑 石英中に、ごく微量含まれる。


3、採集記

第一回 2008年8月15日(金)


第一回 2008年8月15日(金) ←前の「玉山金山」を見る

田野畑鉱山付近についた僕達は、十文字バス停の近くに車を止め、田野畑鉱山の2坑を目指して歩き始めました。

  ←2坑への道。

途中、蛇などに遭遇しつつ、先へ進みます。
しかし、持っている情報は、鉱床図と、「続・鉱物図鑑」に載っている、「尾根を越えて谷へ降りる。」という、とてもアバウトな情報だけだったので、場所が特定できませんでした。
そこで、そのへんで川の水を対岸の林にぶっかけていた地元の人に道を聞くと、産地まで案内してくれました。
そのおじさんの長い長い話を聞き終えたあと、早速採集を開始しました。
坑道の中に入ると、大量のコウモリがいました。
おじさんの長い話によって採集時間を10分に減らされた僕達は、すぐに引き揚げて、3坑に向かいました。
3坑の近くに車を止め、歩き始めます。
川をずぶぬれになって(橋がない)渡るときに、偶然にも、左手にカブトムシが止まりました。
残念ながら、渡ったさきは猛烈な藪地獄で、道がまったく分からなかったので引き返しました。

〜採取鉱物〜

各種一般的に産出するマンガン鉱物。

〜感想〜

今回、岩手の有名な産地を3つも訪れることができ、とてもうれしく思っています。
ただ、今回訪れた3産地共、採集時間がとても短かったので、今度はもっと長く採集したいと思っています。
田野畑鉱山を見学した翌日は、安家洞の非観光洞部分と龍泉洞と龍泉新洞を見学して、帰りました。

〜参考文献〜

北上山地のマンガン鉱床(T) 南部松夫・谷田勝俊・熊谷進 共著 (Fさん提供)

続・鉱物図鑑 松原聰・著

地球の宝探し 日本鉱物倶楽部・編

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