御斎所鉱山

訪問日 2008年10月12日(日)
2010年8月28日(土)
場所 福島県いわき市
天気 一回目・・・晴
二回目・・・晴
同行者 一回目・・・父
二回目・・・○○○中高地学部
管理体制 Free
産出鉱物 マンガン鉱物(南部石、磐城鉱等)
疲労度 ★★
危険度 ★★★
オススメ度 ★★★★
備考 川沿いに歩いて行くので、注意が必要。

1、産地概要

福島県いわき市にあるこの鉱山は、代表的なマンガン鉱山である。
特に有名なのが、新鉱物である南部石で、他の産地とは違い、割合高い確率でお目にかかることができる。(とはいってもレア)
また、新鉱物の磐城鉱やマンガンベルゼリウス石、ブランド石もあり、なかなかに楽しめる鉱山である。
産地に行くには、川沿いにしばらく歩かないといけないので、注意が必要である。

2、産出鉱物各論

1)、南部石 Nambulite 化学組成 (Li,Na)Mn4Si5O14(OH) イノ珪酸塩鉱物 三斜晶系

岩手県九戸郡大野村舟子沢鉱山で発見された日本産新鉱物で、南部石の南部は南部松夫という人の名からきている。
ほとんどの南部石は脈状〜塊状で産するのだが、稀に自形結晶も見られ、柱状〜板状結晶が認められる。
色は橙色で、他の日本産新鉱物とは違って案外簡単に発見することができて、鑑定も容易。
産状としては、ブラウン鉱中に脈を成して産するものと、石英ともに産する場合があり、石英を含む大きなマンガン鉱石を探して割っていけば見つかる確率は高い。

2)、磐城鉱 Iwakiite 化学組成 Mn(Fe,Mn)2O4 酸化鉱物 正方晶系

磐城鉱はここ福島県いわき市御斎所鉱山で発見された日本産新鉱物。
やや緑色がかった黒色亜金属光沢〜金属光沢で強い磁性を持つのが特徴。
ヤコブス鉱と同質異像の関係にある。

3)、マンガンベルゼリウス石 Manganberzeliite 

化学組成 (Ca,Na)3(Mn,Mg)2(AsO4)3 砒酸塩鉱物

カルシウムとマンガンを主成分とする砒酸塩鉱物で、ブラウン鉱を含む鉱石の割れ目に黄色〜橙色の粉状〜粒状として産する。
今のところまだここでしか見つかっていない希産鉱物。

4)、パイロファン石 Pyrophanite 化学組成 MnTiO3 酸化鉱物

赤褐色色の六角板状結晶として産する希産鉱物。
なかなかキレイらしい。

5)、ブランド石 Brandtite 化学組成 Ca2(Mn,Mg)(AsO4)22H2O 砒酸塩鉱物 単斜晶系

6)、菱マンガン鉱 Rhodochrosite 化学組成 (Mn,Ca)5Si5O15  炭酸塩鉱物

7)、バラ輝石 Rhodonite 化学組成 MnCO3 珪酸塩鉱物

赤色をした結晶が緻密に集まっている鉱物で、ここでは高品位なものが普通に産する。

8)、ブラウン鉱 Braunite 化学組成 Mn2+Mn3+6(SiO4)O8 珪酸塩鉱物

マンガンの高品位鉱の一つで、黒色塊状で産出。
最近、この鉱物にかなり弱い磁性があるということを初めて聞いた。

3、採集記

第一回 2008年10月12日(日)

第二回 2010年8月28日(土)


第一回 2008年10月12日(日) 続きの「八茎鉱山」を見る→

僕は朝の5:00に家を出た。
常磐自動車道を北上し、途中のPAで、コンビニで買ったカップ麺をコンビニの中にある休憩所で食べて朝食とする。
いわき湯本ICで高速をおり、情報通りに西の方角へと進む。
そしてある川沿いの発電所の側にある駐車場に車を停め、川沿いに歩き始める。

 ←この辺から歩き始める。

途中いくつか危ない箇所があったが、右岸を歩き続けて約30分。無事にマンガン鉱が転がっている沢に辿り着いた。

マンガン鉱を割りながら沢を遡っていくと、小さな滝みたいなものを発見。
その滝を越えて少し進んだところで、採集を開始した。

 ←産地に落ちているマンガン鉱。結構豊富だ。

ここで2時間くらい永遠と割り続けて疲れ果てた(というより飽きてきた)ので、他の産地に行くことにして、復路を戻った。

〜採取鉱物〜

1)、南部石 Nambulite

 ←中央下部の橙色の部分が南部石。区別は意外と容易。

2)、バラ輝石 Rhodonite

 ←バラ輝石はこれよりいいものがいくらでも採れる。

3)、ブラウン鉱 Braunite

〜感想〜

今回、初めて自分の手で日本産新鉱物を採集することができ、嬉しかった。
しかし、磐城鉱やマンガンベルゼリウス石などの希産鉱物の鑑定が出来ないので、もしこれらの石を採っていたとしても気付かない可能性が高いので、少し鑑定眼を鍛える必要があると思われる。

〜参考文献〜

地球の宝探し 日本鉱物倶楽部 編

続きの「八茎鉱山」を見る→  ↑上へ戻る

第二回 2010年8月28日(土) ←前の「宇津峰鉱山」を見る

地学部合宿の3日目。宇津峰鉱山にて鉄電気石等を採集した我々は、次なる産地である本産地へとバスにて向かった。

産地の近くにてバスを降り、総勢15名くらいで川の右岸沿いに歩き始める。
何分か歩いていくと、長靴を持ってきている組と持ってきていない組に分かれ、持っている組は川の中を進み、持っていない組は山の上を大きく迂回しなければならない箇所に差し掛かった。
自分は持ってきていなかったので、迂回することに。
大きく迂回し終えてすぐに、目的の沢の入口に到着した。
だが、先行した組が先の方へと行ってしまっていたため、呼び戻すのにやや苦労した。
そのせいか、ほとんどの人が採集する気がなさそうなので、極少人数(2名)で沢を5分程遡行した所でマンガンを割り始めた。
が、皆の採集する気はなさそうなので、15分くらい割るだけで産地を切り上げた。
帰りは結局、皆山側のルートから行くこととなった・・・
そしてバスに乗り、本日泊まる宿があるいわき周辺に向かっていった。

〜採取鉱物〜

バラ輝石やブラウン鉱等。特にめぼしいものなし。

〜感想〜

今回は少し採集時間が短かったというのと、人数が多いためかあまり自由に採集することが出来なかったせいか(とはいっても、大半の人達は沢の入口で水遊びをしていた)、マンガン鉱を割ることが全然できなかった。
この産地は個人的に気に入っているので、また訪れたいと思う。

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